ここでは「デイサービスで儲かる仕組みを作る方法」を紹介していきます。デイサービスをきちんと「介護をするビジネス」として捉えれば、「ビジネスとして儲かる仕組みを構築する手段」はおのずと見えてきます。「情熱」だけで経営が上手くいくことはありませんから、ぜひ論理的に考えてくださればと思います。
Contents
一昔前に比べてデイサービスで儲かる仕組みを作るのは難しくなっている
一昔前は「デイサービスを立ち上げれば、儲かる仕組みは自然と出来上がる(工夫せずとも利用者が増えるなど)」という時代でした。率直に言って、「どれほど能力のない経営者でもほぼ間違いなく儲かる」という環境だったのです。
しかし現在は状況が変化しており、きちんと経営して、「意識して儲かる仕組みを構築していく」ということをしないとデイサービスが生き残ることは難しくなりました。
「高齢化社会だから大丈夫だろう」などと思っていると失敗しますので覚えておきましょう。
デイサービスで儲かる仕組みを作るための5つの方法|鹿児島
デイサービスの売上=定員数×単価×利用回数
で決まります。そして「売上>総支出」となればそのデイサービスは黒字です。
もちろん「介護に対する情熱」も必要ではありますが、「儲かる仕組みを作ること」とは直接関係しません。きちんと割り切って考えましょう。「情熱を注げば、売上もアップする」などと捉えるのは非常に危険です。
それでもどうしても割り切れないのであれば、「デイサービスの経営が安定していると、結果的に利用者に対するサービスの質も良くなる」と考えましょう。
逆に言えばスタッフの精神性がいくら立派でも、経営が不安定などサービスの質も落ちる可能性があります。
それではデイサービスで儲かる仕組みを作るための方法をいくつか挙げていきます。
1:定員数を増やす(特に小規模デイサービス)
特に定員数が10人ほどの小規模デイサービスの場合、定員数を18人に増やすだけでも利益が出やすくなります。例えば、「定員数が10人のデイサービスで、1人退所したときのダメージ」と比べると、「定員18人で1人退所したダメージ」のほうが軽くて済むわけです。
(18人にするのが難しければ15人程度でもいいでしょう)
また、定員数が多いと、ケアマネージャーなどから緊急の受け入れ依頼があった場合でも、受け入れやすくなりますから、チャンスが広がると言えます。
「あのデイサービスは緊急でも受けてくれる」と評判になると、ケアマネージャーからも一目置かれやすくなります。
それから利用者がたくさんいると、それだけ口コミでも広がりやすくなります。
(ただ、口コミだけで知名度を上げるのは難しいですから、プロモーション活動もきちんと行いましょう)
注意点:定員数を増やすと固定費も増える
定員数を増やすとスタッフ数なども多くなりますから、固定費が増えることになります。
そして、「スタッフを増やしたのに、利用者を獲得できない」となるとかなりの痛手です。
さらにスタッフ数を多くすると、「スタッフ間の意思疎通にかかるコスト」が上がるかもしれません。
ただ、それを踏まえても「定員数を増やすこと」のメリットは大きいですから、ぜひ検討してください。
2:稼働率をアップさせる|曜日・時間ごとの稼働率を把握する
デイサービスの稼働率をアップさせましょう。理想は90パーセントですが、80パーセントくらいを維持できれば基本的に問題ありません。70パーセントを下回っているのであれば、早急に「稼働率を上げられる仕組み」を構築する必要があります。
そのためには「デイサービス全体の稼働率」を把握するだけでは不十分です。
「曜日・時間帯ごとの利用率」を全て算出して、高いときと低いときを完璧に割り出しましょう。
そしてそれを利用者家族に伝えましょう。「じゃあ空いているときに……」と考えてくれる人は多いです。
もちろんケアマネージャーに告知することも重要です。「どの曜日のどの時間帯が空いているか」まで把握しているケアマネージャーは意外と少ないですから、きちんと知らせておくことで競合に勝ちやすくなるかもしれません。
3:一人あたりの介護報酬単価をアップさせる
少し乱暴な表現になりますが、分かりやすく言うと「一人一人の客に、より多く払ってもらおう」ということです。定員数や稼働率をこれ以上アップさせることが難しいのであれば、基本的に客単価を上げるより他ないはずです。
そのためのシンプルなやり方として「要介護度3以上の高齢者に絞る」というものがあります。「要介護度別の利用できる介護保険料」は要介護度1で最大15万円程度、要介護度3で最大25万円ほど、要介護度5だと最大35万円程度となります。
となるとやはり、「要介護度3~5以上」に絞るのが賢明と言えるでしょう。さすがに4以上、5以上に限ってしまうと利用者が集まりにくくなります。
ただ、これを実現させるためには、
・設備や施設のリフォーム
・スタッフのレベルアップ
・レベルの高いスタッフを雇用する
などのコストがかかります。とはいえ成功すれば、「儲かる仕組み」を盤石なものにできる可能性が高いです。
ちなみにこれに限らず、「ターゲットを絞る(この例で言えば要介護度3以上に絞る)」とうのは、デイサービスを含むほとんどのビジネスの基本でもあります。
4:業務を最大限効率化させる
デイサービスの業務を最大限効率化させることで、コストカットを図ることも大事です。
例えば以下のようなことが考えられます。
・関連記録を整理して、同一情報を記録してしまう事のないようにする
・タブレットを配り、業務の間に情報記入を行うようにする
・朝礼など「形式的に行っているもの」はやめる
特にタブレットなどの「IT導入」は重要です。
また、朝礼に限らず「しきたりでやっているだけで、ほとんど意味のないもの」や、「『仕事をしている感』はあるものの実際にはほぼ何も生み出していない活動」などは今すぐやめましょう。
経営が上手くいっていないデイサービスの中には、例えば「週1~2回、何の実もない会議を1~2時間やっている」というところさえあります。
「こうでなければならない」という固定概念を捨てて、一度全てを見直してみることを強くおすすめします。
業務の効率化に成功すると、
・利用者のケアに充てられる時間が増える
・残業代を少なくできる
・スタッフの離職が減る(言い出さないだけで不満を抱えているスタッフはいるかもしれません!)
などのメリットも得られます。
5:「週5の利用者が少数」よりも「週2の利用者が多数」のほうが安定する
例えば「週5の利用者が少数いる」という場合、1人が退所するなどするとダメージが大きくなります。ですが、「週2の利用者が多数いる」のであれば、1人が抜けてもそれほどのマイナスにはなりません。
もちろん定員数や「デイサービスの方針」などによっては難しいとは思いますが、これも参考にしていただければと思います。
デイサービスの定員別の売上目安|儲かる仕組みを作るためのヒント
続いてはデイサービスの「定員別売上目安」を紹介していきます。儲かる仕組みを作るためのヒントにしていただけると幸いです。
10人:毎月200~250万円
10人規模のデイサービスの多くは、午前・午後の2回転制を採用しています。
利益率は6~10パーセントが目安となります。
利用者を獲得するためにも「風呂介助」をしたいところですが、「1回あたり500円」くらいしかなりませんからリターンは少ないと言えます。ただ、だからといって風呂介助をしないとなると、利用者が増えないかもしれませんから難しいところです。慎重に判断しましょう。
また、「食事に力を入れて利用者を呼び込む」という手もありますが、やり方によっては人件費などのコストが大きくなってしまいます。ですから、例えば「外部の弁当屋と提携する」などの方法も検討しましょう。
ちなみに食事の提供を行っていないデイサービスもあります。
15人:毎月300~380万円
「10人規模でスタートする→稼働率90パーセントを維持できるようになる→15~18人に拡大する」というルートで事業を大きくしていくことをおすすめします。
最初から15~18人で始めるのも一つの手ではありますが、固定費が大きくなって赤字が継続する恐れがありますから、やはり最初は10人にしておくのが無難です。
25人:毎月500~630万円
このレベルになると「2回転」が難しくなってくるので(スタッフ数を多くせざるを得ないので)、1日デイを基本としているデイサービスが多くなります。
色々と勝手も変わりますから、「定員15~18人程度で儲かる仕組みを維持できている」のであれば無理に挑戦する必要はありません。
35人:毎月700~800万円
ここまでいくと経営基盤が強固でないと運営の難易度が非常に高くなります。とはいえ利益率も上がりますから、チャレンジしてみるのもいいでしょう。
まとめ
ここまでデイサービスで安定して儲かる仕組みを作るための方法を紹介しました。特に重要なのは「定員数を多くすること」「稼働率をアップさせること」「客単価を上げること(要介護度3以上の利用者に絞るなど)」です。その上で各種業務の効率化を図って、スタッフの負担を減らしていくことも重要です。