デイサービスの開業・経営をするための手順や準備、必要資金の目安などについて解説していきます。「デイサービス施設（介護施設）ならでは」の部分も多々ありますから、開業を志す方はぜひ最後までご覧ください。ちなみに鹿児島と他の地域とで、開業手順や必要資金に大きな差が出るわけではありません。
Contents
デイサービスの開業・経営手順｜資金はどこでかかる?【鹿児島】
それではデイサービスの開業・経営手順を見ていきましょう。
ステップ1：法人格を取得する
デイサービスの開業をするためには法人格を取得しなければなりません。法人格のタイプとしては医療法人、社会福祉法人、NPO法人、合同会社、株式会社などがあり、どの法人格でも構いません。
ただ、法人格の種類による差は大きいです。主な法人格のメリット・デメリットをご覧ください。
株式会社：資本金1円からでOK。設立までの期間が短い。税金が高くなる
NPO法人：資本金不要。税金なし。設立登記までに4～5か月以上を要する。理事3名以上・監事1名以上が必須
社会福祉法人：税金の優遇措置がある。1000万円以上の基本財産が必須。理事6名以上・監事2名以上が必須。設立に1年以上を要するケースも
必要資金などの条件を確認し、どの法人格を取るかを決めましょう。
ステップ2：デイサービス施設の場所を決める
世帯数、高齢者の人数、デイサービスへの需要などを調査して、デイサービスの場所を決めましょう。スタッフが通勤しやすい、競合が少ないなどの条件も満たしているべきです。
さらに建築基準法、消防法、都市計画法、介護保険法、条令などを守っていることも必須となります。
いくら経営を頑張っても「場所」が悪いとビジネスとして成り立たないのはデイサービスでも同じです。
ステップ3：建物のリフォーム
物件が決まったら、リフォームを行って「デイサービス施設」として仕上げることになります。厳しい設備基準が複数あり、それを全てクリアしていないと営業許可が出ない可能性が高いです。
基本的に「もともとデイサービス施設として使っていた建物を、再利用する（居抜き）」というケース以外ではリフォームは避けられないはずです。
ステップ4：スタッフの募集
デイサービス施設で働いてくれるスタッフを集めることになります。特に小規模デイサービスの場合はそれほど多くのスタッフは必要ありませんが、それでも「人件費」には大きな資金がかかることになります。
もちろん「求人掲載料」「広告宣伝費」なども発生することでしょう。
ステップ5：デイサービス事業者の指定申請
リフォームなどが終わったら、必要書類を準備して、指定期間中に申請を行います。指定を受けるためには、運営基準・設備基準・人員基準などを全て満たしている必要があります。「基準は後から満たすので、とりあえず認めて下さい」というのは基本的に通りません。
なお、指定基準については厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」で全てチェックできます。
デイサービスの経営・開業にかかる資金とその内訳｜鹿児島
それではデイサービスの経営・開業にかかる資金とその内訳を紹介していきます。もちろん目安であり、条件によって金額は大きく変わります。
物件の確保｜150万円～350万円ほど
場所や地域によって賃料は変わりますが、賃料の6～10か月分の保証金、不動産企業におさめる仲介手数料などが発生することはおおよそ共通しています。
また、賃貸契約をするのではなく、建物を購入するという選択肢もあります。
リフォーム代｜250～500万円ほど
デイサービスの施設、つまり「身体が不自由な方も多い高齢者が使う施設」として仕上げるためには、かなりの資金が必要となります。
スタッフを集めるための資金｜50～100万円ほど
ここに50～100万円ほどがかかります。
ハローワークを使うと「求人掲載料」を無料にすることができますが、率直に言ってハローワークにはあまり良い人材が集まらない傾向にあるので気を付けましょう。
備品購入費｜50～100万円ほど
諸々の備品を購入するための資金が50～100万円ほどかかります。「あれもこれも」と全て調達していては経営資金がいくらあっても足りなくなりますから、基本的に「まず確実にいるものを揃え、それ以外のものは必要になったら購入する」という方針を採ることをおすすめします。
車両交通費（車両改造費）｜200～400万円ほど
送迎車などの車両購入費が200～400万円程度かかることでしょう。また、単に車を購入するだけでなく、その車を送迎用に改造しなければならないケースも少なくありません。
ちなみに中古車を購入すれば費用を抑えることができます。ただ、あまりに古い車を買って、短期間で使えなくなるようでは本末転倒ですから気を付けましょう。
デイサービスの開業資金はトータルで最低1000万円は必要
これらのことを踏まえるとデイサービスの開業資金は少なくとも1000万円は必要と言えるでしょう。余裕を見るなら1500～2000万円は欲しいところです。
切り詰めれば700～800万円程度でも開業できるかもしれませんが、運営が始まってから厳しい状態になるかもしれません。
もちろんこれらの資金を全て「自己資金」で準備する必要はなく、融資や公的資金なども利用して調達するのが普通です。
フランチャイズで開業すると資金を抑えられる可能性がある
ちなみにデイサービスをフランチャイズで開業すると、居抜きの建物を紹介してくれる場合があります（資金額を抑えやすくなります）。また、前もって費用の目安を教えてくれるケースもあります。
【鹿児島】デイサービスの開業後、経営していく上での注意点｜資金面など
無事デイサービスの開業することができたら、十分な黒字を維持するために、様々な経営努力をしていかなければなりません。
ここからはデイサービスの経営をしていく上での注意点（資金面など）を紹介します。
最初から高品質なサービスをする｜ここから口コミが広がっていきます
「最初の利用者が納得するサービスをする」ことが非常に大事であり、ここから口コミで評判が広がっていく可能性が高いです。そして集客につながっていきます。
ですから、「徐々にスタッフが慣れて、サービスの質が上がっていく」という意識ではいけません。はじめからハイクオリティなサービスを提供しなくてはなりません。
さらには利用者のニーズに沿ったサービスをすることも大事です。個別の要望を満たせるような柔軟性も欠かせません。
そのため、やはり人件費にかける資金を少なくしすぎるべきではないと言えます。
デイサービス職員が心地よく働ける環境を作る
資金を使って、給与、教育、福利厚生などを充実させてデイサービススタッフが心地よく、長期的に働ける環境を作りましょう。デイサービスに限りませんが、率直に言って「酷い環境で嫌々労働している」という意識を持っている介護スタッフは少なくありません。
良い経営者は顧客だけではなく従業員も大事にするものです。
デイサービスの開業・経営・資金繰りをする前に持っておくべき基礎知識｜鹿児島
最後にデイサービスの開業をする前に知っておくべき基本知識を紹介していきます。
そもそもデイサービスとは?｜高齢者の生活を支援する
「高齢者が自立して生活するための支援をする」のがデイサービスの基本的な目的です。
具体的には
・高齢者が抱きやすい「社会的孤立感」の緩和のための取り組み
・身体や脳の退化を和らげるための取り組み
・食事やおやつの提供（必要に応じて食事介助）
・入浴介助
・スタッフによる健康管理
などをしていくことになります。
施設にもよりますが、デイサービスは「高齢者自身でできることは、できるかぎり自分でしてもらう」という方針のサービスです。例えば、レクリエーションの準備の一部を、高齢者に手伝ってもらうようなケースさえあります。
原則として、「手取り足取りなんでも介護する」こととは違いますから意識しておくといいでしょう。
デイサービス業の意義｜高齢者を元気にできる
デイサービス業には色々な魅力がありますが、まとめると「高齢者に元気になってもらうことができる」ということが最大の意義となるでしょう。
実際、デイサービスに通う前は心身ともに活力のなかった高齢者が、デイサービスをしばらく利用したことで身体機能が向上したり、表情が明るくなったりするケースは少なくありません。
また、「デイサービスに行っている間は、介護を休める」ということで、利用者家族にとってもメリットがあると言えます。
こういった貢献のできることが、デイサービスの開業・経営、さらには資金繰りをするためのモチベーションの一つとなるのではないでしょうか。
開業などを進めていく中で心が折れそうになったときは、「なんのためにデイサービス経営をしたいのか」を思い出してみることをおすすめします。
まとめ
鹿児島などでデイサービスの開業・経営をするための手順や、そのために必要となる資金について解説しました。開業のためには最低でも1000万円程度の資金を用意するべきです。開業・経営する中で様々な苦難を味わうことになるとは思いますが、デイサービスの意義を思い出してモチベーションを高めていくことをおすすめします。
