デイサービスに行きたがらない男性は少なくありません。そこでここでは、「デイサービスに行きたがらない主な理由」と「無理なくデイサービスに行ってもらい、介護を受けてもらう方法」について解説していきます。強引に行かせようとすると、かえってデイサービスが嫌になる可能性もあるため気を付けなくてはなりません。
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デイサービスに行きたがらない男性の心理として多いもの
男性に限りませんが、デイサービスに行きたがらない理由として特に多いものを挙げていきます。
「介護されたくない」というプライド
特に男性に多いですが、「介護されたくない」というプライドを理由にデイサービスに行きたがらない人は少なくありません。
デイサービスに行く以上は誰かに世話をされることになりますから、それをなかなか受け入れらないのは自然な感情なのではないでしょうか。
「自分はもう、誰かに面倒を見てもらうべき存在になってしまった」と認めるのは、性格によっては非常に辛いことです。まずは、それを理解しなくてはなりません。
認知能力の低下から「自分に介護が必要である」と理解していない
プライドとは無関係に、認知力の影響で「自分に介護が必要な状態である」と本当に理解していない場合もあります。
このケースではデイサービスに通っているうちに、抵抗が薄れていく場合が少なくありません。
認知力の低下から「介護＝得体の知れないもの」と思っている
認知力が下がると、介護をされていても「自分が何をされるのか（されているのか）分からない」という状態になりやすいです。
例えば「デイサービスに行きますよ」と言われても、「得体の知れない車が自宅に来て、自分をどこか恐ろしい場所に連れていく」などと認識してしまってもおかしくありません。
デイサービス施設に到着してからも、一例として「食事」という行為を理解できず、とにかく「怖い!」としか思えない男性も少なくありません。
体調不良
高齢者本人の体調が悪くて、デイサービスに行きたがらない場合もあります。特に普段から衰えているケースでは、「正常な状態」と「体調が悪い状態」の見分けがつきにくくなる可能性もありますから気を付けなくてはなりません。
そして、「体調は悪いから今日は行きたくない」などと明確に理由を表現せず（表現できず）、「行かない!」などとしか言わない男性も少なくありません。
デイサービスでの食事をしたくない（飲み込みにくい、口内炎があるなど）
入れ歯が合わない、口内炎が痛い、飲み込みにくいなどの理由でデイサービスの食事で嫌な思いをしたことがあると、デイサービスに行きたがらない場合があります。
また、デイサービスへと出発する時点では忘れていても、食事をする段階になったら思い出すケースもあるでしょう。
自宅での食事の場合、食べ物を柔らかくしたり、状況によっては一食スキップしたりすることもあると思います。しかし、デイサービスではそこまで融通が利かない可能性もあります。
薬による体調不良｜これも自分では伝えにくいです
飲んでいる薬の影響で脱水症状になったり、非常に眠くなったりしているケースもあります。そしてこのような体調不良について自分自身できちんと表現することは難しいですから、「今日は行かない!」としか言わない人は少なくありません。
また、認知能力によっては、そもそも自分が薬を飲んでいると理解していない可能性もあります。
それではデイサービスに行きたがらない男性への対処方法を紹介していきます。もちろん女性の場合もほとんど同じやり方で対応できます。
介護の必要性を伝えて理解してもらう
そもそも「なぜ介護が必要なのか」を把握していない人も少なくありませんから、まずは粘り強く説明してみましょう。するとだんだんデイサービスの重要性を理解していってくれるかもしれません。
着ていく服を選んでもらう（など本人の意思を尊重する）
「なんでも他人にコントロールされるのが嫌」と感じている男性もいます。
その場合は例えば「デイサービスに着ていく服を選んでもらう」など、「本人の意思で決める部分を増やす」と受け入れてくれる可能性があります。
本人の気分がいいときに話す
高齢者には「気分屋」の人も多いですから、本人の気分がいいときにデイサービスについて話すのもおすすめです。
気分屋だからこそ、「介護なんてされたくない!」と信じられないくらい激怒することもありますが、その怒りが数分で消えることもあります。
とにかく当人の性格を考えながら接しましょう。
具体性のある声掛けをする｜「デイサービスに行こう」では分からない!?
先ほどもお伝えした通り、特に認知症が進行している場合は「今日はデイサービスの日です」などと言われても理解できない可能性が高いです。
ですから、「今日はお出かけです。色々な人がいるところでご飯を食べたり、お風呂に入ったりしますよ」などと具体的に説明することをおすすめします。
そしてデイサービスに到着してからも、例えば入浴であれば「身体を洗ってキレイにしましょう。お湯を使って汚れを落としますね」などと細かく、分かりやすく伝えると納得してくれる可能性が高いです。
もちろんこちらに関してはデイサービススタッフが気を遣って行ってくれるはずですが、自宅で介護をするときも参考にしていただければと思います。
ケアマネージャーやデイサービススタッフに家に来てもらい信頼関係を作る
一度ケアマネージャーやデイサービススタッフに自宅に来てもらい、高齢者本人と話をすることで信頼関係を構築できる場合もあります。わざわざ家を訪問してもらうことで、「この人なら大丈夫そう」などと思ってくれるかもしれません。
もちろんケアマネージャーやデイサービススタッフは忙しいでしょうから、事前にきちんと頼みましょう。
デイサービスに行きたがらない男性に対するNG行動
続いてはデイサービスに行きたがらない男性に対してやってはいけない行動を紹介していきます。
叱る・怒鳴る
デイサービスに行きたがらない様子を見るとイライラするかもしれません。それは仕方がないことですし、「イライラするのはいけない」などとは思わないほうがいいです。
ただ、デイサービスに行きたがらないからといって叱ったり怒鳴ったりしてはいけません。
なぜなら本人には悪気がないからです。
また、よく「頭では分かっているのに叱ってしまう」などと言う人もいます。ただ、少し厳しい表現になりますが、ほぼ間違いなく「頭で分かってさえいない」です。
心当たりがある場合は、一度冷静になり、「高齢者とはどういう存在なのか」「認知症とは何なのか」などと考えてみることをおすすめします。
せかす
「早くして!」などと言っても、そもそも早くできない可能性が高いですよね。
それに「せかしている側」に自覚はなくても、言われている側としては、ほぼ叱られているのと変わりません。
叱ったり、せかしたりすると、かえって意地になるケースもあるので注意しましょう。
「正しいデイサービスへの行かせ方」があると思い込む
特に認知症になっている場合、「デイサービスへの行かせ方」は毎日バラバラになるのが普通です。
比較的シャキッとしている日は普通に準備できるかもしれません。
調子が悪い日は、例えば「今日は旅行に行きますよ」ですとか、「○○（本人が好きだった映画の主人公）もよくお出かけしていたよね?」と説得するべきかもしれません。
全然動いてくれない日は、朝食だけ食べさせて、「薬だけ持たせて、あとは迎えに来たデイサービススタッフに丸投げ」ということになるかもしれません。
「結果的にデイサービスに行ければいい」と考えて柔軟に対応することが大事です。
もちろん「嘘をつくのは気が引ける……」と感じるかもしれません。しかし、デイサービスに行けるほうが本人にとってもプラスになるはずです。
デイサービスに行きたがらない男性に関しては専門家に相談するのもおすすめ
色々な手を打ってもどうしてもデイサービスに行きたがらない場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。例えば、「市区町村の介護保険課」「地域包括支援センター」などですね。相談してみると、思いもよらないような解決策のアドバイスをしてくれるかもしれません。
デイサービス施設に直接問い合わせることにはややリスクがある（退去勧告等）
もちろんデイサービス施設に直接問い合わせるのも手です。
ただ、「ちょっと最近、朝なかなか出かけたがらないんですねえ」などとライトな相談をするのはいいですが、
「どうしても行きたがりません!（実際に行かないことを繰り返している）」などと深刻な話をすると最悪の場合、退去勧告を受けることもあります。
ですからデイサービス施設に相談するときは、少し慎重になりましょう。
まとめ
デイサービスに行きたがらない高齢者への対処方法を紹介しました。もちろん色々な原因が考えられるのですが、特に男性の場合は「プライド」が理由であるケースが目立ちます。ですから、まずは「介護の必要性・重要性」などを丁寧に説明しつつ、本人からの理解を得るようにしていくことをおすすめします。
