デイサービスなどの介護サービスでは、利用者を楽しませるためにレクリエーションを行います。ここではこのレクリエーションをする意味や期待できる効果、具体的な種類、レクリエーションをする際の注意点などについて解説していきます。もちろんご家庭でレクリエーションのようなものをすることも可能です。
Contents
デイサービスなどでレクリエーションをする理由は?
まず、デイサービスなどで行われるレクリエーションにはどのような目的があるのか見ていきましょう。実は色々な効果が期待できます。
身体機能の維持・改善
レクリエーションにより身体を動かすことで、身体機能の維持・改善させることができます。
特に高齢者の場合は地味な運動には取り組みにくいかもしれませんが、レクリエーションなどの楽しいものであれば積極的に行える方が多いです。
脳機能の活性化
レクリエーションでは身体全体を動かします。そのため、普段あまりしない動作をすることになり、それによって脳の様々な場所が刺激されて、認知症が進むのを遅らせたり、予防したりすることができます。
また、言葉を使うレクリエーションも脳の刺激になります。
他者とのコミュニケーションが増える
レクリエーションによってデイサービス施設の職員だけでなく、他の利用者とコミュニケーションをする機会も増えます。こうして仲間とつながることで生活へのモチベーションが高くなる人も多いです。
家での生活もいきいきしたものになる
レクリエーションによって脳や身体機能が向上したり、コミュニケーションの機会が増えたりすることで、その人の生活の質自体がアップします。すると、自宅での毎日もいきいきとしたものになることでしょう。
ストレスを適度に発散することで情緒的にも安定し、家族などの介護者の負担も緩和される可能性が高いです。
実際、「デイサービスに通うようになってから明らかに介護が楽になった」などと語るご家族は少なくありません。
デイサービスで行われるレクリエーションの一例
それでは、デイサービスで採用されることの多いレクリエーションを一部紹介していきます。
脳を使うことがメインのレクリエーション|しりとりなど
しりとり:有名ですから、取り組みやすいレクリエーションです。ルールを変則的にしやすいなど自由度も高いです。
頭文字さがし:50音が記載されたカードを1枚引き、その文字から始まるワードを書いていきます。最も多くワードを書いたチームの勝ちです。
逆文字当て:「上下左右を逆にして書かれた言葉」を見て、どんな言葉が当てます。
ボードゲーム:オセロや将棋が人気です。周囲の人が応援することもできます。
運動がメインのレクリエーション|風船バレーなど
風船バレー:うちわで風船をコントロールして行うバレーです。もちろん通常のバレーに比べて高齢者でもやりやすいです。
紙コップシュート:段ボール箱の内部に紙コップを設置して、ボールを投げ入れます。こちらもルールの自由度を高めやすいレクリエーションと言えます。
グーパー運動:身体も脳も動かすことができるレクリエーションです。途中で手を叩く動作を入れるなど、難易度をアップさせることも可能です。
足でペットボトル立て:水を入れたペットボトルを横向きに設置して、足を使って立てるゲームです。水の量を増やすと難易度が下がります。
指先を動作させることがメインのレクリエーション|折り紙など
これも広く言えば「運動」ですが、指先を動かすことにより脳を刺激して、認知症を予防する効果が期待できます。
塗り絵:季節感のある塗り絵をするデイサービスが多いようです。
折り紙:季節感のあるもの、動物、ツルなど人気です。完成した塗り絵や折り紙を施設内に飾っているデイサービス施設が多いです。
お菓子作り:たこ焼き、洋菓子、和菓子などを作ります。また、「食べるときの他者との交流」にも大いに意味があります。もちろんあまり難しいものは作りません。
指編み:「アクリルたわし作り」など、簡単な指編みをレクリエーションとして行っているデイサービスもあります。
口腔機能改善がメインのレクリエーション|巻き笛など
年齢を重ねることで低下した・低下しやすい口の機能を維持、改善するためのレクリエーションです。
巻き笛:音を出すことによる楽しさもあるレクリエーションです。
ストローを使う福笑い:通常の福笑いを、パーツをストローで吸い上げることで行います。
音楽を取り入れたレクリエーション|カラオケなど
カラオケ:なんと言っても歌うと楽しいですし、聴く側としても面白いです。また、歌うことで心肺機能を高めたり、安眠効果を得たりすることもできるとされています。
季節のイベント・お出かけ等のレクリエーション
・節分
・お花見
・七夕祭り
・ハロウィン
・紅葉狩り
・クリスマス会
など季節的なイベントをレクリエーションとして導入しているデイサービスが多いです。
「四季の楽しさ」を味わうことで生活にメリハリが生まれることでしょう。
ここまでいくつか具体的なレクリエーションを紹介しました。
もちろん施設によって他にも様々なレクリエーションを行っています。
デイサービスでレクリエーションをするときの注意点
どちらかと言えば「レクリエーションを提供する側」の注意点ですが、ご家族などの介護者の皆さんもぜひチェックしてください。
安全面について細心の注意を払う
いきなり運動をすると怪我や事故を招く可能性がありますから、必ず準備体操をしてもらいます。もちろんその準備体操でトラブルが起きる場合もあるので、気をつけなくてはなりません。
また、「利用者の状態・身体能力」などだけでなく「レクリエーションを行えるスタッフの数」も考慮して内容を決めましょう。
事実はどうであれ、「高齢者が自分自身で身を守ったり、危険を回避したりすることはまずできない」くらいの意識でデイサービスのレクリエーションを行うべきです。
利用者に対して敬意を払う
まるで子どもを相手にするかのように利用者と接するスタッフもいますが、高齢者への敬意を忘れてはいけません。特に言葉遣いとマナーに注意しつつレクリエーションを行いましょう。
たとえ認知症が進行している利用者であっても、「自分に対してどのような態度が取られているか」は理解するものです。また、「自分が認知症だから、軽んじられているのだ」と考える方もいます。
そして、レクリエーションのレベルを慎重に決めることも敬意を払うことの一環です。
あまりにも簡単なレクリエーションでは自尊心が傷つく可能性もあります。
しかし、難しすぎるのも考え物です。ですから、レベルの調節をしやすいレクリエーションを選ぶといいかもしれません。
利用者本人にとっては「ただの遊び」になるようにする
レクリエーションには様々な効果を期待できますが、それはレクリエーションを運営する側が理解していればいいことです。
そのため、徹底する必要まではありませんが、基本的に利用者にとっては「レクリエーション=単なる遊び」になるようにしましょう。そのほうが自然に楽しむことができますし、モチベーションも上がりやすいです。
誰も孤立させない
若い人の中にも集団で何かをするのが苦手な人がいます。
そして高齢者についても同じことが言えます。
デイサービスのスタッフは常に視野を広く持ち、孤立していそうな人がいたら声がけをして自然にレクリエーションに参加できるように促しましょう。
レクリエーションの無理強いはしない
デイサービスを利用するからといって、必ずレクリエーションに参加しなければならないわけではありません。
本人が「嫌です」と意思表示をしているのであれば、それを尊重しましょう。
実際、デイサービスのレクリエーションの時間になると、少し離れた場所で休んでいる利用者もいます。
ただ、だからといって無視をするということではなく、その人が可能な限り楽しめるように配慮することも大事です。
とはいえ「万人が楽しめるレクリエーションはない」ということも理解しておきましょう。
利用者を褒める
やはり褒めることでレクリエーションに参加している人のモチベーションが高まります。
そして「すごいです」などの抽象的な誉め言葉を使うことも大事ですが、利用者の状況を注視して、具体的な内容の誉め言葉を混ぜていくことも重要です。
照れずにスタッフも楽しむ
慣れるまでは「レクリエーションを企画・進行する側」に照れが生まれるかもしれませんが、それではいけません。
高齢者に限らず人間は他人の様子を敏感に察知しますから、スタッフが照れていればとまどうかもしれませんし、スタッフがつまらなさそうにしていれば退屈になってしまいます。
レクリエーションのときは笑顔を忘れず、「自分が一番楽しむ」くらいの意識でいましょう。
まとめ
デイサービスなどで行われるレクリエーションは単なる遊びではなく(当人の意識としては遊びであるべきですが)、心身機能の改善、生活の質の向上、脳の活性化、他者とのコミュニケーションの確保などの意味もあります。ただ、周囲が気をつけるべきことも多いです。細心の注意を払いつつレクリエーションをしましょう。