デイサービスの開業をするためには必ず、「収支計画書」を作ることになります。そこでここでは、デイサービスの収支計画書の作成方法と、そのためのシミュレーションの仕方などについて解説していきます。デイサービスは「ボランティア」ではなく「ビジネス」ですから、手を抜いていいところではありません。
Contents
デイサービスの収支計画書を作る理由|シミュレーションの重要性
経営する以上、今後の収支のシミュレーションは欠かせません
「融資」や「自己資金」などの資金を、デイサービスの開業・運営のために使いますから、事前に収支のシミュレーションをしておくことが欠かせません。分かりやすく言えば、「こういう収支になるので儲かります」と形にしておく必要があるのです。
融資を受けるためには収支計画書が必須
また、金融機関としても収支計画書・事業計画書などを見ないと、融資できるかどうか判断することができません。
もちろん金融機関側もプロですから、「楽観的な収支計画書」「稚拙な収支計画書」などを提示してしまえばお金を借りられなくなる可能性が高いです。
「デイサービス事業者指定申請」にも収支計画書が必要
デイサービス事業所として介護報酬を得るためには、サービスをスタートする前に「デイサービス事業者指定」を管轄の自治体から受けなくてはなりません。
そのための必要書類の一つに収支計画書があります(他にも様々な書類を用意することになります)。
デイサービスの収支計画書の作り方|シミュレーション方法は?
続いてデイサービスの収支計画書の作成手順、シミュレーション方法について解説していきます。
1:デイサービスの開業・運営で発生する「費用」「収益」をリストアップする
デイサービスを開業・運営するにあたっては、「施設代」が大きな負担となります。
デイサービスの施設・設備基準として、
・床面積が十分である
・静養室(ベッド完備)を配置する
・介護できるだけの広さがあるトイレ
・入浴設備(入浴介助をしないのであれば不要)
・鍵付き棚(個人情報が掲載されたファイル等を保管する)
などの条件があります。そのため、リフォーム代が発生することでしょう。
また、物件を借りるのであれば、少なくとも月々20~30万円の家賃がかかることになります。
それから
・チラシ作成代
・営業費用
・ウェブサイト立ち上げ費用
・求人広告掲載料(ハローワークなら無料なのでおすすめです)
などの「広告費」もかかることになります。
特に「オープニングスタッフ募集」の場合、「フレッシュな環境で質の高いサービスを提供したい」と考える情熱を持った人が応募してくる傾向にあります。そのため広告・宣伝にはある程度力を入れることをおすすめします。
さらには「法人設立費」も発生しますから忘れないようにしましょう。
2:売上に関するシミュレーションをして計画を立てる
基本的に「売上=サービス単価×顧客数×利用回数」となります。
ただ、3年ごとに介護保険法の改正が行われていますから、最新の「報酬単価情報」を見てシミュレーションすることを心がけてください。そうでないと収支計画書がおかしなものになるかもしれません。
ちなみにデイサービスの報酬は下がり続けています。
3:固定費の計算をする
「デイサービスの運営が始まってから」は、固定費の半分程度を人件費が占めることになることでしょう。
資格や職種によって給与が変わるはずですから、スタッフ一人一人の給料をきちんと算出した上で「トータルの人件費」を導き出しましょう。
もちろん他の固定費(家賃、備品のレンタル代)なども全て加えてください。
4:年間の見込み売上・経費の計算をする
見込み経常利益:「売上-税金」によって計算される利益のこと
この見込み経常利益は、金融機関に対して融資の申し込みをするときに必要となります。
ここまで解説してきた1~3から「見込み年間売上」と「経費」の計算を行い、それらを月々の収支計画に反映させることで、見込み経常利益を導き出すことができます。
また、「年間の収支をマイナスにしないための収入の基準」も明確にしておきましょう(これを損益分岐点と言います)。
5:資金調達の計画を練る|最初の2か月は介護報酬が入らない
請求業務をしてから実際に介護報酬を受け取るまでには2か月かかります。
それも踏まえて「いくら資金が必要か」のシミュレーションをして、その資金を調達するための計画を練らなければなりません。
資金繰りの方法としては、
・自己資金
・一般的な金融機関からの融資
・日本金融政策金庫からの融資
・公的な助成金
などが考えられます。
デイサービスの収支計画書を作るときの注意点|シミュレーションのコツ
第三者が見て分かりやすく、納得できる収支計画書を作る
・誰が見ても内容を理解できる
・誰が見ても納得できる
という条件を満たした収支計画書を作りましょう。
「経営者だけが理解できる収支計画書」ではいけません。
不測の事態についても考えておく
・意外と応募が集まらない(そのため有料広告を出す)
・利用者が集まらない
・利用者が立て続けに退所する
などの不測の事態が起きて、思うような収支にならない可能性もあります。
このような状況において発生する費用や、対策に関してもシミュレーションして、それを収支計画書に反映させましょう。
まとめ
デイサービスの収支計画書を作る方法や、そのためのシミュレーションについて解説しました。質の高い収支計画書を作っておけば、そのあとの資金繰りなどがしやすくなります。独りよがりではない、「第三者が見ても分かる・納得できる内容」にすることを意識しつつ、早めに収支計画書作りに取り掛かりましょう。