ここでは鹿児島市内をはじめとする全国の「地域密着型デイサービス」と通常のサービスの違い、特有のメリット、地域密着型デイサービスの利用を開始するまでの手順、地域密着型サービスが抱える課題などに関して解説していきます。「スタッフ側」にも「利用者側」にもぜひご覧いただきたい内容となっております。
Contents
地域密着型デイサービスの内容は通常のデイサービスとほぼ同じ|鹿児島
「地域密着型デイサービス」では主に以下のようなサービスが行われます。
・送迎
・食事やおやつの提供
・お風呂の補助
・レクリエーションの企画や運営
・健康管理
・機能トレーニング
・リハビリテーション
・口腔ケア
上記なような日常生活のためのサポートをします。ちなみに予備のオムツ、歯ブラシ、着替えなどは本人自身で用意しなければなりません(もらったり借りることができたりする場合もありますが、基本的にその費用は自己負担となります)。
機能トレーニングに関しては、利用者の生活環境や運動能力などに沿って、メニューや目標を決めて、トレーニングをすることになります。これによって身体機能の維持・向上を目指します。
レクリエーションや、施設内・周辺などの散歩も行う場合が多いです。
また、デイサービス施設には看護師が常駐しているケースも少なくなく、服薬補助や健康確認(血圧測定など)もしてくれます。さらには水分摂取管理、食事指導、栄養改善などをする事もあります。
以上のことから、「地域密着型デイサービス」だからといって、「通常のデイサービス」とサービスの中身に大きな違いがあるわけではないと言えます。
地域密着型デイサービスと通常のデイサービスの差は?|鹿児島
もちろんサービス内容以外の部分に関しては、地域密着型デイサービスと「通常のデイサービス」には差があります。主な違いを見ていきましょう。
定員数|地域密着型デイサービスは小規模です
利用者の定員数に関して、
地域密着型デイサービス:18名以下
通常のデイサービス:19人以上
と決まっています。また、地域密着型デイサービスに関しては、「月々の利用者数は450人まで」というルールも存在します。そのため通常のデイサービスに比べると、地域密着型デイサービスのほうが小規模であると言えます。
地域について|そのエリアの人のみ利用できる
地域密着型デイサービスを利用できるのは、基本的に「その事業所があるエリアに住んでいる人だけ」です。また、「都道府県」ではなく「自治体(市区町村など)」が管轄しています。その地域の状況に沿った整備をして、関連機関と協力しながら事業をしていると言えます。
そして、地域活動、地域の人々との交流などに対してアグレッシブな傾向にあります。
料金|地域密着型デイサービスのほうがやや高い
料金に関しては、一般的なデイサービスよりも地域密着型デイサービスのほうがやや高いです。ただ、劇的な差があるわけではありません。
ちなみに(地域密着型サービスに限らず)機能トレーニングをしたり、入浴をしたりするとサービス費用が加算されます。ですから、料金を抑えたいのであれば、「どのサービスを受けるか」をきちんと吟味しましょう。
もちろん費用などを考慮した上で、一般的なデイサービスをチョイスするという選択肢もあります。
地域密着型デイサービスの利用を開始するまでの手順
続いては地域密着型デイサービスの利用をスタートするまでの手順を紹介していきます。これに関しても通常のデイサービスとあまり変わりませんが、「地域密着型だからこそ」の部分もないわけではありません。
1:担当のケアマネージャーに相談して事業所を探してもらう
まずは担当のケアマネージャーと相談して、地域密着型デイサービスの事業所を見繕います。また、空き状況のチェックもします。
地域密着型デイサービスの施設はそれほど多いわけではないと言えますから、探しても利用できる事業所が見つからない可能性もあります。
2:契約&ケアプランを作る
地域密着型デイサービス事業所との契約を交わします。
そしてケアプランを作ります。
※「看護小規模多機能型居宅介護」や「小規模多機能型居宅介護」の施設を利用する場合においては、以降そこに在籍するケアマネージャーが担当することになりますし(つまり担当ケアマネが変わる)、ケアプランも変更後のケアマネージャーが作ります。
3:サービス利用スタート
ケアプランの作成などが済んだら地域密着型デイサービスの利用を開始できます。
これ以降もケアマネージャーなどと密に相談しつつ、「受けるサービスの内容」などを適切に調整していきましょう。
ちなみに最初に「地域密着型デイサービスを受けたい」などとケアマネージャーに相談してから、ここまでたどり着くのに1か月ほどかかる場合が多いです。ですから、早めに動き出しておくことをおすすめします。
地域密着型デイサービスの主なメリット|小規模だからこその充実サポート
さて、地域密着型デイサービスは基本的に利用者が18名までとなっていますから、それぞれのお年寄りに目が届きやすいと言えます。そのため転倒などの事故が起きにくいですし、一人一人に寄り添った充実したサポートを受けやすい傾向にあります。
さらにはスタッフとの距離が近いため、アットホームなムードになりやすいというメリットもあります。
また、中には「利用時間延長」「緊急利用」などにも対応可能なところもありますし、医療依存度が高くても受け入れてくるところもあります。
地域密着型デイサービス(など)が抱える課題|鹿児島
続いては地域密着型デイサービス(をはじめとする地域密着型介護サービス)が抱えている課題に関して解説していきます。
想定よりも事業所数・利用者数が伸びていない
ここまでの説明ですでに少し触れていますが、当初の想定に比べると地域密着型デイサービスの事業所数・ユーザー数は増えていないとされています。
実際、利用したい地域密着型サービスの施設が満員になってしまっているというケースも少なくありません。
それではなぜこのような状況になっているのか事業所側・利用者側の事情をそれぞれ見ていきましょう。
【事業所側の事情】人材確保の難しさ、採算の取りにくさ、周知度の低さなど
まず人材確保をしにくいと言えます。地域密着型サービスは、時間帯やサービス内容の対応範囲が広い傾向にありますが、それを実現するためには、もちろん多めの人員が必要です。
それでいて「介護報酬が高くはない」などの理由で採算を取りにくい状況にありますから、「積極的に地域密着型サービスを展開するメリット」があまりないのです。
(ちなみに介護報酬の低さに関しては、国・介護業界全体の課題とも言えます)
また、対応範囲が広いぶん、前もって利用者の要望を理解することが困難であり、運営の効率が低くなる傾向にあります(特に訪問介護)。
それからそもそも地域密着型デイサービスの周知度が低く、ケアマネージャーの中にさえ「地域密着型サービスの存在を知らない」「知っているものの詳しくは理解していない」という方がいます。
さらに「ケアマネージャーが変更される場合は、(変更前のケアマネージャーに対して)地域密着型サービスの提案がしにくい」ということもあります。
【利用者側の事情】
利用者としても「ケアマネージャーが変更されること」に対しては抵抗感が大きくなりやすいです(むしろ利用者だからこそ、でしょうか)。
また、地域密着型サービスに関しても、事業所側の都合(職員の体制など)がありますから、あらゆるサービスを要望通りに利用できるわけではありません。どこかで妥協が生じてしまうかもしれません。
そして、単純に「地域密着型でない通常のサービス等と比べると料金が高くなる」ということも、地域密着型デイサービス等のユーザー数があまり伸びていない理由の一つになっていることでしょう。
鹿児島内に限らず住民票を移動して地域密着型デイサービスを利用するのは厳禁
まれに自分や家族が希望する地域密着型デイサービスを利用するために、住民票を移動する人もいます。これはもちろん厳禁であり、前もって届出の提出を義務付けるなど、厳格なルールを設けている自治体も少なくありません。
また、住民票の移動に成功したとしても、移動先の地域のサービスを利用できるとは言い切れません。一例として、「(通常の規則に加えて)○か月以上、この市の市民であること」などをサービスの利用条件の一部としている地域密着型デイサービスもあります。
そしてそもそも地域密着型デイサービスをはじめとする地域密着型サービスは、「利用者が暮らし慣れたエリアで安心して過ごすこと」を目的としています。そのため、「あのサービスを受けたいから、住民票を移す」というのは根本的に間違っていると言えるでしょう。
まとめ
鹿児島をはじめとする地域密着型デイサービス(などのサービス)について解説しました。通常のデイサービスとサービス内容はほぼ同じです。しかし地域密着型のほうが、より一人一人に対するサービスが充実し、対応も柔軟である傾向にあります。ただ、制度全体について言えばまだ課題があり、今後の発展が望まれています。